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住宅着工戸数の見通し(2018・19年度)| 第一生命経済研究所 | 小池理人

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発表日:2018 年 9 月 19 日(水)

住宅着工戸数の見通し(2018・19 年度)

~駆け込み需要の発現が住宅着工戸数を押し上げる見通し~

第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部 副主任エコノミスト 小池 理人(℡:03-5221-4573) (要旨) ○住宅着工は足元まで低調な推移が続いているが、先行きは 19 年 10 月の消費増税を睨んだ駆け込み需 要の発現が予想される。駆け込み需要がピークを迎える 19 年春にかけて、着工戸数は増加する可能性 が高い。 ○消費増税前後の需要変動を平準化するため、すまい給付金制度の拡充が予定されているが、それでも増 税前に住宅を購入する方が有利になるケースが多い。19 年 10 月の増税時にも駆け込み需要とその反動 が発生する可能性が高い。 ○先行き住宅着工戸数は増加することが見込まれるが、これはあくまで駆け込み需要によるものであり、駆 け込み需要の影響を除けば住宅着工は低調なものにとどまる。結果として、駆け込み需要の効果が切れ る 19 年夏以降には、駆け込み需要の反動も相まって着工戸数は大幅に減少する見込みだ。住宅着工戸 数は 2018 年度 98.5 万戸、19 年度 94.9 万戸と予想する。持家を中心に駆け込み需要が生じることから 18 年度の着工戸数は増加する一方、駆け込み需要の反動から 19 年度は減少に転じるだろう。 ○住宅着工戸数は前期比+8.5% 4-6月期の住宅着工戸数は年率換算済季節調整値で 96.8 万戸(前期比+8.5%)と大きく増加し た(資料1)が、これは大規模マンションの着工の集中という特殊要因や1-3月期に大きく下落した ことの反動の面が大きく、住宅着工は足元まで低調な推移が続いている。もっとも、先行きについて は、19 年 10 月の消費税率引き上げを睨んだ駆け込み需要の顕在化が予想されるため、増加に転じる可 能性が高いだろう。 10 15 20 25 30 35 40 45 50 60 65 70 75 80 85 90 95 100 105 110 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 10 11 12 13 14 15 16 17 18 着工戸数計(左軸) 持家(右軸) 貸家(右軸) 分譲(右軸) (出所)国土交通省「新設住宅着工統計」 資料1. 利用関係別・住宅着工戸数(季節調整済年率換算値、万戸)

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○消費増税による駆け込み需要 過去の例(資料2~5)をみると、1997 年4月の消費税率の3%から5%への引き上げ(+2%)、 2014 年4月の消費税率の5%から8%への引き上げ時(+3%)とも、税率引き上げの5四半期前か ら駆け込み需要が顕在化し始め、消費税率引き上げに伴う住宅に関する経過措置1の期限である2四半 期前にピークを迎えていたことが確認できる。19 年 10 月の消費増税の5四半期前は 18 年7-9月期に 当たるため、そろそろ駆け込み需要が顕在化し始めるタイミングとなる。今後、増税2四半期前とな る 19 年4-6月期にかけて、住宅着工戸数は増加する可能性が高いだろう。 ※資料2~5では今回(2019 年 10 月)と前回(2014 年4月)、前々回(1997 年4月)の消費増税前後の住宅着工の推移を示している 駆け込み需要の発生規模は、利用関係別で異なる。過去の税率引き上げ時に大きな影響がみられた のは、持家である。良好な雇用所得環境を背景に持家への需要は増加しやすいことから、19 年 10 月の 引き上げにおいても持家着工は駆け込み需要の影響が出易いだろう。貸家については、前回引き上げ 時と異なり、相続税対策需要の一巡により着工増加ペースは緩やかなものにとどまるだろう。分譲に ついては、デベロッパーが住宅の需要見通しに基づいて建設工事に取りかかるため、住宅購入者が着 工のタイミングを決定できる持家や貸家と異なり、そもそも駆け込み需要が発生しにくい。駆け込み 需要の発生規模は限定的なものにとどまる見込みだ。 足元での駆け込み需要については、内閣府が発表している景気ウォッチャー調査でのヒアリング結 1 住宅について、消費税率引き上げ日の半年前の指定日の前日までに契約したものについては、引渡しが税率引き上げの基準日以降に なっても引き上げ前の税率を適用する特例 80 85 90 95 100 105 110 115 120 125 130 24 22 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 3%→5%増税時 5%→8%増税時 8%→10%増税時 (増税月の24ヶ月前の着工戸数=100) (増税までの月数) 資料2. 消費増税前後の着工戸数の推移(全体) 出所:国土交通省「住宅着工戸数」より筆者作成 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 24 22 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 3%→5%増税時 5%→8%増税時 8%→10%増税時 資料3. 消費増税前後の着工戸数の推移(持家) (増税までの月数) 出所:国土交通省「住宅着工戸数」より筆者作成 (増税月の24ヶ月前の着工戸数=100) 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 24 22 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 3%→5%増税時 5%→8%増税時 資料4. 消費増税前後の着工戸数の推移(貸家) (増税までの月数) 出所:国土交通省「住宅着工戸数」より筆者作成 (増税月の24ヶ月前の着工戸数=100) 75 85 95 105 115 125 135 24 22 20 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 3%→5%増税時 5%→8%増税時 8%→10%増税時 資料5. 消費増税前後の着工戸数の推移(分譲) (増税月の24ヶ月前の着工戸数=100) (増税までの月数) 出所:国土交通省「住宅着工戸数」より筆者作成

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果(資料6)から、足元で駆け込み需要が発生し始めているとのコメントが散見されており、駆け込 み需要による住宅の着工が今後増加していくことが予想される。 消費税率の引き上げに伴って、駆け込み需要とその反動が生じることが予想されるが、政府は駆け 込みによる経済への影響を平準化するため、住宅ローン減税とすまい給付金の2つの制度を導入して いる。このうち、すまい給付金については消費税率の 10%引き上げ時に拡充が予定されている。具体 的には、これまで収入額の目安2が 510 万円以下の場合に最大 30 万円が支給されていたものが、収入額 の目安が 775 万円以下の場合に最大 50 万円が支給されることになる。年収要件が緩和されると共に、 支給額も増加する予定である。また、住宅ローン減税については現時点では制度変更は予定されてい ないが、こちらについても、消費増税に当たっての経済対策の一環で、制度拡充が検討されている状 況である。これらの対策により、駆け込み需要と反動減の規模を一定程度抑制する効果が期待できる だろう。 もっとも、すまい給付金について、支給額の増加幅が最も大きい収入額の目安が 510 万円超え 525 万円以下の場合であっても、2,000 万円を超える価格の建物を購入すると消費増税による負担増がすま い給付金の支給額を上回る状態、すなわち消費増税後に住宅を購入することが不利な状態となる。ま た、2014 年4月に消費税率が引き上げられた際にも住宅ローン減税の拡充とすまい給付金の導入によ り増税前後での需要の平準化が図られたが、駆け込み需要と反動減はかなりの規模で発現してしまっ た。今回の制度拡充によっても一定程度の駆け込み需要とその反動減が生じることは避けられないだ ろう。 ○住宅着工を取り巻く減少要因 先行き住宅着工戸数は増加することが見込まれるが、これはあくまで駆け込み需要によるものであ る。駆け込み需要の影響を除けば住宅着工は低調なものにとどまるとみるべきだろう。結果として、 駆け込み需要の効果が切れる 19 年夏以降には、駆け込み需要の反動も相まって着工戸数は大幅な減少 が避けられない。 住宅着工を取り巻く悪材料としては、①建設業務従事者の減少と建設需要の増加による人手不足、 ②資材価格や地価の高騰によるコスト高、③主たる住宅取得者である 30 代人口の減少などが挙げられ る。 日本国内の労働市場における人手不足が深刻化している環境下で(資料7)、建設業界の人手不足 は特に厳しい状況にある(資料8)。震災復興や東京オリンピック、国土強靭化計画の実施等、建築 需要が増加する中で、建設業の供給制約は住宅着工の進捗に影響を与えると共に、労働コストの上昇 によって住宅価格の上昇要因となり、住宅着工戸数の下押し圧力となるだろう。 2 夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子どもが2人のモデル世帯において、住宅ローンを利用して住宅取得する場合の夫の収入額 の目安。 資料.6 消費増税発現に関するコメント 消費税の引上げを意識する客が多くなってきており、確実に受注量が増えている。住宅販売会社(経営者) 消費税の引上げを気にしている客が増えている。住宅販売会社(従業員) 消費税の引上げ予定によって、客の購買意欲が徐々に高まっていると感じられる。住関連専門店(営業担当) 出所:内閣府「景気ウォッチャー調査8月調査」 景気ウォッチャー調査

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また、建築資材の価格上昇も住宅価格押し上げに作用する。建築需要が増加する中で、鉄鋼や木材 といった建築資材の価格が上昇しており、建設用材料の中間財価格の推移(資料9)をみると、ほと んどの材料で価格の上昇がみられる。国内における建築需要はもとより、世界経済の着実な成長を背 景に国際商品市況も上昇基調にあり、建設資材の上昇が住宅価格を押し上げる状況は続くとみている。 地価の上昇も住宅着工の抑制要因である。公示地価は、3大都市圏では5年連続で上昇を続けてお り、全国平均でも 2018 年はプラスになるなど、上昇傾向にある。地方圏の地価は依然としてマイナス で推移しているものの、マイナス幅は▲0.1%まで縮小しており、プラス転化が見える水準まで回復し てきている(資料 10)。地価の上昇は、住宅取得コストの増加に繋がることはもちろんのこと、マン ション建設に適した大規模な土地の取得が難しくなるなど、住宅着工を押し下げる要因となっている。 人口動態も住宅着工の抑制要因として挙げられる。住宅の一次取得者は 30 代の割合が高く、特に新 築の住宅での割合が高いため(資料 11)、住宅着工戸数に大きな影響を及ぼすと考えられる。これま では団塊ジュニア(1971 年から 1974 年)の存在によって 30 代人口の大幅な減少という状況は避けら れていたが、団塊ジュニアは既に 40 代半ばとなっており、住宅の購入を牽引する世代ではなくなって いる。今後 30 代人口は減少し続けることになるため(資料 12)、人口動態は住宅着工の下押し圧力と なるとみられる。 -50 -45 -40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 14 15 16 17 18 全産業 建設 (「過剰」-「不足」) 出所:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」 資料8. 雇用人員判断DI(全規模合計) 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 1.7 2.0 2.2 2.4 2.6 2.8 3.0 3.2 3.4 3.6 3.8 14 15 16 17 18 完全失業率 有効求人倍率(右軸) 資料7. 労働需給指標 (%) (倍) 出所:総務省「労働力調査」、厚生労働省「一般職業紹介状況」 75 80 85 90 95 100 105 110 115 15 16 17 18 木材・木製品 鉄鋼 非鉄金属 石油・石炭製品 プラスチック製品 資料9.建設用材料(中間財)価格の推移 出所:日本銀行「企業物価指数」 -6.0 -5.0 -4.0 -3.0 -2.0 -1.00.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 全国平均 三大都市圏平均 地方圏 出所:国土交通省「公示地価」) 資料10. 公示時価の推移 (%)

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25 35 45 55 65 75 85 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 今後1年間の失業不安 今後1年間の収入不安 ↑改善 ↓悪化 出所:日本リサーチ総合研究所「消費者心理調査」 資料13. 失業や収入に関する消費者心理の推移 ○利用関係別動向 以下、持家・貸家・分譲の3つの利用関係別の動向をみていく。 ① 持家:駆け込み需要と良好な雇用所得環境を受けて増加を予想 横ばい圏での推移が続いている持家であるが、 今後は増加が予想される。前述のとおり駆け込み 需要は持家を中心に顕在化するとみられ、先行き の着工を押し上げるだろう。加えて、景気回復に 伴う賃金の上昇や人手不足に伴う良好な雇用所得 環境、消費者心理の改善(資料 13)も後押しにな るとみられる。一方、2019 年春には駆け込みがピ ークを迎え、その後は反動減から大幅な減少に転 じることが予想される。 ② 貸家:アパートローンへの監視強化や採算性の低下により低調な推移が続く 貸家については、①アパートローンへの監視強化、②採算性の低下、③税制の厳格化といった下押 しも大きく、目立った増加は期待し難い。 まず、アパートローンへの監視強化は、住宅着工を抑制する大きな要因となっている。日本銀行の 金融緩和政策による金利低下を受けて銀行のアパートローンは積極的に融資された。その結果、貸家 の着工戸数は増加を続け、15 年度、16 年度には住宅着工戸数を牽引していたが、金融庁が銀行の事業 リスク評価や借り手のリスク認識についての不十分さを指摘したことで銀行の貸出態度は硬化(資料 14)、貸出額は減少し(資料 15)、貸家の着工数は減少することになった。足元でも金融庁のアパー トローンへの姿勢は依然として厳しく、銀行による貸出姿勢は厳しい状態であるため、当面の間は貸 家の着工戸数の下押し圧力になり続けるとみている。 0 20 40 60 80 100 注文住宅 分譲戸建住宅 分譲マンション 中古戸建住宅 中古マンション 30歳未満 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上 無回答 (%) 資料11 住宅一次取得時の世帯主の年齢 出所:国土交通省「住宅市場動向調査報告書」 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100 以上 (千人) (歳) 第一次住宅取得の適齢層 資料12. 年齢階級別人口(2017年10月) 出所:総務省「人口推計」

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94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 13 14 15 16 17 18 2010年=100 出所:各種資料より第一生命経済研究所作成 資料16. 貸家採算性の推移 採算性についても、貸家着工の伸び悩みの要因となっている。貸家の採算を表す指数である貸家採 算性指数3は低下基調にあり(資料 16)、貸家を保有することによる採算性が悪化していることが示さ れている。採算性の悪化は主に家賃の低下や建設工事費の増加、長期プライムレートの下げ止まりに よるものである。これまでの金融機関による融資態度の軟化や相続税対策による貸家の急増を受けた 供給過剰感から空室率は上昇傾向にあり(資料 17)、家賃は低下を続けている。加えて、建築資材の 高騰や労働コストの上昇により、建設工事費は増 加し、採算性は悪化傾向にある。また、日本銀行 による金融緩和政策を受けた金利の低下を受けて、 長期プライムレートは低下を続けてきたが、2016 年7月に底を打って以降、非常に緩やかなペース (2016 年8月に+0.05%pt、2017 年7月に+ 0.05%ptの計+0.10%pt)ではあるものの、 長期プライムレートは上昇を続けている(資料 18)。 3 貸家採算性指数=民営家賃/(建設工事費デフレーター×年賦率) 年賦率=r(1+r)35/{(1+r)35-1} r=長期プライムレート 0 5 10 15 20 25 30 20 13/0 6 20 13/0 9 20 13/1 2 20 14/0 3 20 14 /0 6 20 14 /0 9 20 14 /1 2 20 15/0 3 20 15/0 6 20 15/0 9 20 15/1 2 20 16/0 3 20 16/0 6 20 16/0 9 20 16/1 2 20 17/0 3 20 17/0 6 20 17/0 9 20 17/1 2 20 18/0 3 20 18/0 6 全産業 不動産 (「緩い」-「厳しい」) 出所:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」 資料14. 金融機関の貸出態度判断DIの推移(全規模合計) -30.0 -20.0 -10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 20 13/0 6 20 13/0 9 20 13/1 2 20 14/0 3 20 14/0 6 20 14/0 9 20 14/1 2 20 15/0 3 20 15/0 6 20 15/0 9 20 15/1 2 20 16/0 3 20 16/0 6 20 16/0 9 20 16/1 2 20 17 /0 3 20 17/0 6 20 17/0 9 20 17/1 2 20 18/0 3 20 18/0 6 出所:日本銀行「貸出先別貸出金・業種別」 (前年比、%) 資料15. 国内銀行による新規貸出額(個人による貸家業)の推移 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 15 16 17 18 東京都全域 神奈川県 埼玉県 千葉県 出所:TAS「賃貸住宅市場レポート」 資料17.空室率インデックスの推移 -0.4 -0.2 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 12 13 14 15 16 17 18 長期プライムレート 日本国債10年金利 出所:日本銀行「金融経済統計月報・金融」、Bloomberg 資料18. 長期プライムレートと日本国債長期金利の推移 (%)

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税制面については、小規模宅地等の特例の適用要件厳格化が挙げられる。小規模宅地等の特例とは、 小規模宅地等の相続税の相続税評価額が減額され、相続税負担が軽減される特例である。本特例の適 用によって、財産を現金で保有するよりも不動産で保有する方が評価額が下がり、相続税額も減額さ れるため、これまで節税対策としての貸家需要を支える大きな要因となってきた。しかし、平成 30 年 度の税制改正によって、小規模宅地等の特例の適用要件が厳格化され、相続開始前3年以内に貸付事 業の用に供された宅地等への適用が除外(ただし事業的規模で行っているものは除く)されたことか ら、相続税対策としての貸家の優位性が低下することで、貸家需要の減少に作用することとなった。 相続税需要は貸家着工の追い風であったが、税制改正によって、相続税対策を理由とした貸家需要は 減少している。 ③ 分譲:雇用・所得環境が追い風となるも、マンション価格の高止まりから横ばい圏での推移を予想 分譲については横ばい圏での推移を予想している。雇用・所得環境が改善していることはマンショ ン販売にとって好材料である一方、分譲マンションの販売価格が高止まりしていることが引き続き重 荷になる。在庫水準も高く、分譲マンション着工に積極的になるには至らないだろう。 なお、駆け込み需要については、分譲は持家や貸家と異なり、デベロッパーが住宅の需要見通しに 基づいて建設工事に取りかかることから、駆け込み需要とその反動の規模は比較的小さなものになる とみている。 ○2018 年度 98.5 万戸、19 年度 94.9 万戸を予測 以上を踏まえ、先行きの住宅着工戸数を 2018 年度 98.5 万戸、2019 年度 94.9 万戸と予測する(資料 19)。弊社が6月1日に発表した見通しから、2018 年度の住宅着工戸数を上方修正(前回:96.0 万戸 →今回:98.5 万戸)している。2018 年第2四半期の住宅着工戸数が、大規模マンション工事の集中等 で上振れた分譲を中心に予想よりも増加したためである。なお、駆け込み需要が生じるタイミングと 規模については、前回見通しから大きな変化は無い。2018 年度後半の着工戸数は、持家を中心に駆け 込み需要が生じることから、増加する見込みだ。2019 年度の着工戸数については、年度の前半に駆け 込み需要がピークを迎えるものの、その後は駆け込み需要の反動を背景に大きく落ち込むことにより、 年度全体としては着工戸数は減少するとみている。

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10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 60 65 70 75 80 85 90 95 100 105 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (万戸) (万戸) 全着工戸数 (左軸) 持家 (右軸) 貸家 (右軸) 分譲 (右軸) 資料19. 住宅着工戸数の見通し 出所:国土交通省「住宅着工戸数」(2018年第3四半期以降は筆者作成)

参照

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